知っておきたい!薄毛・白髪の最新メカニズム
「最近、髪のボリュームが減った気がする」「気づいたら白髪が増えていた」―
年齢を重ねるにつれて、誰もが向き合うことになる髪の悩み。今回は、そのメカニズムについて、美容師としての視点からお話しさせていただきます。
薄毛・白髪の鍵を握る「17型コラーゲン」
薄毛や白髪の原因については、「17型コラーゲン」というタンパク質が毛髪の成長に重要な役割を果たしていることが、近年の研究で明らかになっています。
髪の毛を作り出す元となる「毛包幹細胞」は、この17型コラーゲンを大量に発現することで、毛髪の成長を促しています。この17型コラーゲンが不足すると、毛包幹細胞が毛髪の生成をやめ、皮膚細胞へと変化してフケや垢となって脱落してしまうことがわかっています。
薄毛・白髪予防の新常識「オキシトシン」
さらに、最近の研究では、「幸せホルモン」として知られる「オキシトシン」が薄毛や白髪の予防に欠かせないことが、東京医科歯科大学の福田淳二教授らによって発表されました。
オキシトシンは、毛髪の成長を司る「毛包幹細胞」に直接働きかけ、細胞を活発にする効果があるとされています。つまり、精神的な充足感や幸福感が、髪の健康にも良い影響を与えるということです。
毛包幹細胞の敵、「酸化」と「過酸化脂質」
17型コラーゲンを生成し続けることができれば、薄毛や白髪を防ぐことができる、ということになります。では、どうすれば良いのでしょうか?
残念ながら、17型コラーゲンを食品や塗布で直接取り入れることはできません。しかし、毛包幹細胞を傷つける大きな要因は、「過酸化脂質」であることがわかっています。これは、頭皮の皮脂が活性酸素によって酸化することで生まれます。
加齢や不規則な生活習慣、ストレスなどから生まれる「活性酸素」をいかに抑え、頭皮と毛根の酸化を防ぐか。これが、日々のケアで最も重要なテーマとなります。
ヘアカラーと酸化の関係
ヘアカラーは、髪を染めるために「酸化染毛剤」を使用します。しかし、これが直接薄毛や白髪を引き起こすという科学的根拠はまだ確立されてはいませんが、ヘアカラー剤と混ぜ合わせ使用する、いわゆる髪のトーンアップを図る脱色効果の過酸化水素は活性酸素の一種である「フリーラジカル」を生成します。これらのフリーラジカルは、毛髪だけでなく、頭皮の細胞にも酸化ストレスを与え、毛髪の成長サイクルに悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、こうした酸化カラーリング剤が頭皮に付着することで、このリスクは高まります。適切な施術と、カラー後の頭皮の抗酸化ケアが、頭皮環境を守る上で非常に重要となります。
シーンからのアドバイス
17型コラーゲンを増やす画期的な方法が確立されるには、まだ時間がかかると言われています。しかし、私たちはその日を待つだけではありません。サロン現場では、お客様一人ひとりの頭皮の状態を丁寧にカウンセリングし、適切なシャンプーや頭皮マッサージ、トリートメントをご提案することで、毛包幹細胞を健全に保つお手伝いをしています。
大切なのは、「日々のお手入れ」と「頭皮への意識」です。そこで、ご自宅で簡単にできるセルフケアをご紹介します。
ご自宅でできる頭皮ケアのポイント
実は、年齢とともに頭皮は下がり、それに伴い毛穴が塞がれたり、毛根が押しつぶされてしまうことがあります。さらに、毛母細胞へと栄養を運ぶ細い毛細血管が断裂してしまうリスクも。
こうした頭皮のトラブルを予防するために、シャンプーの際に、ご自身の指の腹を使い、ゆっくり、丁寧に頭皮を引き上げること。毛母細胞が活性化するよう働きかけながら、「気持ちがよいな」と感じることで、幸せホルモンであるオキシトシンも生成されます。
こうした地道な日々のケアこそが、一番の対策となります。ご自宅でのケア方法や、ご自身の頭皮トラブルについて、お気軽にご相談ください。