著者の森村誠一さんがご夫婦でレストランに訪れたときのこと、そこでは、ある婦人人権団体に講演の依頼を受けた井上ひさしさんが打ち合わせをしていたようです。
日本国憲法第9条。この条文こそ最高の文学だと心酔する作家のお二人が、ばったり、ここ、玉川学園で遭遇したというお話を以前伺いました。
確かに。。。
読めば読むほど味わい深い最高文学であると納得いたします。
ノーベル文学賞の呼び声高い最高傑作の9条、その他に僕が酔いしれる条文は
・第11条の「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、浸すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」
「日本国民に保障する基本的人権は」「浸すことのできない永久の権利」
この文章が第97条でも繰り返されていることに揺るぎない、強烈な力強さを感じます。
・第12条のこの憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」
・第13条の「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
第11条・第13条とともに、「国民の基本的人、自由、権利」そこへの「国民の不断の努力によって」とこれでもかと明記あります。心に刺さりますね。
・第36条の公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
崇高で偉大なるこの憲法条文に”絶対”という表現、そんなわかりやすい副詞句使っちゃうの?
そして、最も注目すべきは男尊女卑が色濃い、この時代において、女性草案者であるベアテ・シロタ・ゴートンさんの歴史を震撼させたこの条文。
・第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
まさに現代、ジェンダーの問題が足踏みをしている中、ベアテさんのご長女の二コルさんはこのように語っておりました。「1945年当時、同性婚については頭になかった。でも、母が亡くなる直前のインタビューでは個人の尊厳を定める条文の原理、原則からすると、どのジェンダーアイデンティティーの人にも当てはまると話していた。」と。
公布から77年、日本を代表する多くの文化人が心酔する、わが国の日本国憲法。
本書では改憲に対する著名人の様々の思いも所収されております。あらゆる面から憲法を考え、森村誠一先生の情熱を読み、100年、200年、色褪せないこの美しい日本国憲法を決して迷子にしないでほしい。そう願っています。
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